<食壇>勝負の一年を迎えたステビア甘味料
食品化学新聞
この1年がステビアマーケットの将来を左右する勝負の時期であることは間違いない。日本で生まれ育ったステビア甘味料は、08年6月に開催されたJECFA会議(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)における完全ADI(1日許容摂取量)の決定を皮切りに、同年12月には大国の米国でGRAS物質として登録。昨年8月にはフランスで甘味料として認可されるなど、大きな転換期を迎えた。数十年にわたってアジアや南米の限られた地域で市場を形成してきたステビア甘味料は、わずか数年の間に加速度を付けて全世界で脚光を浴びる甘味料となった。米国では、ナチュラルをコンセプトとした飲料が相次ぎ発売されたほか、卓上甘味料用途で採用が活発化し、一部ではステビアブームに沸く時期もあった。また米国では、ステビア配合商品の甘味補助としてエリスリトールが使用されるようになったことでタイト感が出現するなど、賑わうステビアの裏側で荷動きが旺盛となった原料もでてきた。過去の低位安定を続けてきたステビア市場を考えれば、実に華やかな話題が世界各国を飛び交ったようになった。しかしその一方で、製品規格をはじめ原料事情などの至極基本的な部分に問題を抱えているのも事実で、安定的な商業生産を続けていくためにはクリアしていかなければならない課題は多い。
日本では、第8版食品添加物公定書に記されている通り、レバウディオサイドA、C、ステビオサイド、ズルコサイドAの「ステビオール配糖体4成分で80%以上」の規格が定められている。40年近い食経験を有する日本のステビア規格こそが、商業生産並びにコストパフォーマンスを両立させているベースと考えてもらいたい。一方、JECFAは、日本の4成分に加えてレバウディオサイドB、ステビオールバイオサイド、ルブソサイドのステビオール配糖体7成分の合計が95%以上となっている。ハードルは高いものの、精製後のステビア甘味料に微量なりとも含まれているものであるため、コストは跳ね上がるが製品化できないこともない。しかし米国のGRAS2規格は、そうはいかない。レバウディオサイドAのみで95%もしくは97%となっているためだ。こちらは、原料手当てや精製技術に関するコストがダイレクトに製品価格へ反映される。もはや価格競争力は無いに等しく、他の合成甘味料とは太刀打ちできない価格帯となってしまう。
そもそもステビア甘味料は、キク科の植物が原料なために合成甘味料とは異なり安定的な生産計画が立て難く、天候に大きく左右されることが多い。過去をみても、洪水や干ばつなどを理由に原料市況が大幅に高騰したことがしばしばあった。また原葉主産地が中国ということもあり、栽培農家の生産意欲によってはニュークロップが大きく落ち込むこともある。
中国で昨秋に収穫されたニュークロップは5万8000t程度となるが、夾雑物が多く原葉換算では4万t程度となった。また、仮想需要に沸く米国市場を背景に全体の75%となる3万t程度がレバウディオサイドA高含有原葉のいわゆるハイレバA品種となっている。原葉からの歩留まりが低下していることもあり、抽出物換算では2400t程度(乾燥葉から6%の収率)が確保される見通しで、収穫量はまずまずといったところだ。しかしながら今後、世界的にレバウディオサイドA高含有品の市場が急激に拡大してきた場合はバイプロ品の処理が課題として浮上してくる。世界のニーズとステビア甘味料の現状をみれば、その隔たりはしばらく埋まりそうもない。
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食品化学新聞
10年2月4日号
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